硬いなぁ。それでもやっぱり成年後見の話題で。

「成年後見制度」で、財産が使い込まれる被害が、最近の16か月間におよそ37億円に上ることが最高裁判所の調査で分かりました。被害の報告が314件あり、被害総額はおよそ36億9800万円に上ることが分かりました。このうち306件は、親族が財産を管理していたケースで、…最高裁は、制度への信頼を揺るがす深刻な事態だとして、対策の検討を急いでいます。

という論調のこのニュース⇒成年後見制度“信頼揺るがす事態”(NHKサイト)

 

『成年後見制度は悪用される、悪用されないために最高裁は対策を立てるべきだ』という印象を持つ方がほとんどだと思います。

 

しかし、ここで大切な事実はたった一つ。それは「使い込みの事件のうち、95%は親族後見人がかかわっている」という点だけです。

 

ここに書かれていない事実を一つ。「判断能力が低下した方のうち、成年後見制度を活用している方は、高齢者分野に限っても7%程度にしか過ぎない」

 

以上の2つの事実からから導き出される問題点は、成年後見制度の悪用とその対策というちっぽけなものではありません。

 

ここでの問題点は、『判断能力が低下した方の財産管理を親族が無権代理している状況が9割以上を占めており、そこでの財産の使い込みについては誰も把握していない』ということです。

 

判断能力が低下した高齢者のうち、成年後見制度を利用していない方の親族による使い込みは、単純計算で、同じ16ヶ月の間に約500億円となります。

 

成年後見制度を利用している方に対する監督機能の強化も大切ですが、判断能力が低下した方の権利が守られるように成年後見制度の利用率を向上させるほうがよっぽど大切だ!と独りごちます。